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No.17                             酒 井 寿 紀                      2000/06/24


株は麻雀型かパチンコ型か?

 

株の売買は一種のゲームである。

ゲームには大きく分けて、麻雀型とパチンコ型の2種類がある。麻雀型では勝った人の勝ち点の分だけ負けた人が負ける。ゲームの参加者の得点の合計は常にゼロである。パチンコ型では、パチンコ屋の損益を別にすれば、日によっては全員が儲かることもあるし、全員が損することもある。自分が儲けるかどうかは、同時にパチンコをしている他の人の成績には関係ない。

では、株の売買はこのどっちだろうか?

経済の成長が続き、それに伴って株価の上昇が続く時は、よほど変な株を買わない限り、全員が儲けることができる。つまりパチンコ型である。

パチンコ型ゲームではパチンコの台の選択が最も重要である。いい台を選んだら、一時的に玉の出が悪くなっても気にせずに、とにかく時間が許す限りやり続けることだ。株も同じで、銘柄の選定に全力を注ぎ、一度買ったら一時的な値下がりなど気にせずに、とにかく持ち続けることだ。いわゆる「 buy-and-hold 」である。

しかし、60年代から80年代にかけて続いたような高度成長の時代は日本には二度と再び来ないだろう。90年代の10年間のような極端な停滞はそんなにないにしても、実質成長率2%前後の安定成長が続けば上出来という時代になるだろう。そして平均株価や市場の時価総額も、一時的には乖離があっても、長期的には実体経済に比例してしか伸びないものだ。高度成長時代に比べれば横這いに近いような状態になるだろう。株価インデックス連動型の投資信託を買って持ち続けても、預金の金利を大きく上回るリターンは期待できないだろう。

こういう状態での株の売買は何型になるのだろうか?

ある時点Aとある時点Bの間で、市場に参加した全員の株式資産と株の売買に使う現金について考えてみよう。ここで、市場に参加した全員には、A時点には株を持っていたが途中で売ってしまった人、A時点には株を持っていなかったが途中で株を買った人も含める。また、話を単純化するために、A時点とB時点の市場の時価総額を同じとする。

(B時点の各人の株と現金)−(A時点の各人の株と現金)=(各人の利益)

であるから、この式を全員について加えると、

(B時点の全員の株と現金)−(A時点の全員の株と現金)=(全員の利益)……(1)

となる。ここで、前提条件から、

(A時点の全員の株)=(A時点の時価総額)

=(B時点の時価総額)=(B時点の全員の株)

であり、また、この市場での株の売買で動いた現金はすべてこの人達の間で持ち主が変わっただけだから、

(A時点の全員の現金)=(B時点の全員の現金)

である。従って、

(A時点の全員の株と現金)=(B時点の全員の株と現金)

であり、これを(1)式に代入すると、

(全員の利益)=0

となる。つまり、市場参加者には儲ける人も損をする人もいるが、その合計は "0" であり、まさに麻雀型なのである。これは途中で時価総額が上がったり下がったりしても、またある株がB時点で高くなっていても安くなっていても同じなのだ。また、途中で新規上場があったり、株式分割があっても同じである。但しこれは、もちろん、配当収入を無視した、キャピタルゲイン(またはロス)だけについての話である。

ではこういう麻雀型のゲームではどうしたらいいのだろうか?

麻雀型では、自分が勝つということは他人が負けるということであり、自分が儲けるためには他の人に損をさせなければならない。みんなでなかよく儲けることはできないのだ。

従って、証券会社の推奨銘柄を素直に買って、成果を期待することは先ず難しい。特に企業のサラリーマンであるアナリストは、サラリーマンの習性として、身の危険を避けるため、みな横並びに同じような銘柄を推奨したがる。そういう銘柄は、買う人が多いので、もうすでに妥当な価格以上の値になっている可能性が大きい。

麻雀型市場では他の多くの人と同じことをしていたら絶対に儲からない。人気がなくて安い時に買い、人気が沸騰してみんなまだ買いたがっているうちに売らなければならない。つまり天邪鬼になる必要がある。

今後の麻雀型市場でも、成長株の選択は重要だが、成長株は高度成長時代に比べて極めて限定されるので、現在のネット株のように投資家が殺到して、異常な高値になってしまう恐れが大きい。従って、たとえ業績が向上しても、株価が現在以上にさらに上がるかどうかは非常に疑問である。むしろ上がりすぎてはドカンと落ちる乱高下を繰り返す可能性が高い。

今後は、成長企業についても、株価の長期的な安定成長は期待できないだろう。その為、値動きを利用して、安い時に買って高い時に売って儲けるしかない。値動きで成果を上げるためには、リスクはあるが、値動きの激しい株の方がいい。本誌No.5にも記したように、押し目で買って値を戻したら売る「ヒットエンドラン作戦」がリスク回避のためにも有効であろう。


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